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谷川千佳が個展『約束』でたてる誓い

谷川千佳が個展『約束』でたてる誓い

 

「今までできていたことの焼直しではなく、新しい意味のある展覧会をしたい」

―いきなり率直な質問なんですけど、谷川さんが女性を描くのはどうしてですか。

 

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谷川:自分が女性だから女性を書くのだと思います。でも今描いている女性は誰でもないし、誰であってもいいんです。キャラクターでもないし、名前もない。性格も想像してないです。描く作品によっては自分を投影しているものもあるんですけど。今回の個展のDMで使った作品なんかはそうですね。

 

―女性はひとつのシンボルとして選んでいると。

 

谷川:私が描きたいのは、あくまで現実の延長線上にある世界なので、女性というシンボルは現実と表現の世界をつなぐ役割を担っています。

 

―では、今後男性を描く可能性ってあったりしますか。

  

谷川:イラストレーションのお仕事で描いたことはあるんですけど、個人の作品として今の感じだと男性は選ばないですね。男性がいることで女性がいる意味が変わってきますし、関係ができたりもするので。女性が女性でしかなくなるというか。今後、自分が伝えたいことに必要が出てくれば描くかもしれないですけど。

 

―確かに、恋人、友だち、兄妹など、いろんな想像が膨らんじゃいますもんね。では、女性と一緒に光を表現されている作品が多いと思うのですが、そこに理由はありますか。

 

谷川:現実の世界を描く上でのモチーフとして使っています。光っていろんな光があると思うんですよね。同じ強さの光でも闇の中だとはっきりと見えるけれど、光の中だと見えにくかったり。存在するものとしては同じでも、状況によって見え方が変わるところって、なんか現実で起こる出来事とつながっていると思っていて。あと、光を描くときに月をモチーフに使うことも多いです。太陽の光は存在としては好きなんですけど、強いので凝視できないから、月の光は見えるものとして好きで。月はその太陽の光に照らされているものなので、そういう光もあるっていう、一つの光の象徴として描いたりしています。

 

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―今回の個展でも様々な光を感じる作品を描かれていますよね。実は、これまでいろんな形で関わりがあったので、ondoで個展を開催するのが初めてと聞いて正直驚きました。個展はどういう経緯で決まったんですか。 

 

谷川:昨年末、活動を終えて今後の自分がどういう作品を描いて、どういう活動をしていくのかを考えたときに、改めて関西で個展をやりたいと思いました。以前から、

ondoさんとはグループ展やプロダクトで関わらせていただいていたんですけど、自分の中ではいつか個展をやらせてもらいたいという気持ちがあって。ちょうど自分の意思とタイミングがマッチして、ondoさんでやらせて欲しいと、2015年が明けてすぐにお願いしたんです。最初は秋くらいを想定していたんですが、「そろそろ駆け足でいきましょう!」とondoさんに言っていただいて。今年は5月にondoさんで昨年開催した3人展『ゆめにさまよう』の東京展を開催することが決まっていたので、その勢いのまま個展をやることができたのは、自分としても描くこととさらに向き合えて良かったですね。

 

―今回個展を開催するにあたって挑戦したいことはありましたか。

 

谷川:そうですね。新しいことをやりたいという思いがありました。今までできていたことの焼直しではなく、新しい意味のある展覧会をしたいという思いがあって。それはondoさんとやることで、できることなんじゃないかと思っていたんです。

 

―新しいことというと。

 

谷川:私自身がフリーランスのイラストレーター・画家になって、今で1年ちょっとなんですけど、作家としてできることを増やしていかないといけない気持ちが強かったので、単純に見え方として、絵の表現が進化した作品を発表する展覧会にしたかったということ。それと、見せ方としても、絵を仕事としてやっていく決断をしてから意識が随分変わったので、自分の精神的な面も見せられたらと思いました。

 

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―表現として進化した部分を見せることも簡単ではないですけど、精神的な面を見せることってやはり難しいですよね。

 

谷川:そうですね。ondoさんと展覧会の方向性を話し合う中で、ちゃんと私が感じていることを伝えていくのが一つの大きなテーマであり、目指していく方向ということになりました。なぜそういう話になったかというと、実は私、絵に込めた思いを素直に言葉にして伝えるのが得意じゃなくて。表現していることは決して嘘じゃないんですけど、言葉(タイトル)で包んで分かりにくくしてしまうんですよね。

 

―それは意図的にやっていることですか。

 

谷川:意図的なところもあるし、無意識なところもあると思います。絵は「答え」ではなく「問い」でもあると思っているので、私の描く世界は物語を通して提示しようという意識があって。でもそれを伝える努力の部分が、まだまだ意識しきれてないことに気がついたんです。物語を言葉でも包んでしまうと、二重に包んでいることになるので、今後はもう少し分かりやすい言葉を使って伝えることも大切だという話になって。

 

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―なるほど。それで今回タイトルもシンプルで分かりやすいものにされたんですね。でも、いろんな言葉がある中で、『約束』を選んだのはどうしてですか。 

 

谷川:今回の個展では、これからも大切にしていきたいことや、考えていること、こうなりたいみたいな、自分自身の指針をお伝えしたいという思いがありました。それは「約束」みたいなシンプルで分かりやすい言葉でこそ、伝えられるんじゃないかなと思って選んだんですが、言葉と向き合うことの大切さを改めて実感しましたね。

 

 

「現実を現実のまま表現するのではなく、そこに差し伸べられる手がある物語を紡いでいきたい」

―『約束』の中に含まれる、今後大切にしていきたい、こうなりたい部分を具体的な言葉にしてもらってもいいですか。

 

DSC_0085谷川:はい。今回の展示では5つの大切にしたい思いをお伝えできたらと思っています。そのひとつが「物語を紡ぐこと」なんですね。

これは今までも展覧会で言ってきたことでもあり、今までもやってきたことでもあるんですけど、現実を現実のまま表現するのではなく、そこに差し伸べられる手がある物語を紡いでいくことを大切にしたいです。今回の作品を一つ例に挙げると、「夢をつなぐ」という作品は、すでにある星をつなぎ合わせて新しい物語を作っていくっていうのがテーマになっていています。視点を変えることで気づくことがあり、そこから新しいモノゴトが生まれるような、光や救いを表現しているんですが、それは現実からかけ離れた物語じゃなくて、地続きでつながっているんです。そういうプラスの活力になる物語を紡ぐことが、作家として一つできることなのかなって。今回はそれを絵とタイトル、両方で表現しています。

 

―こうなりたいっていう部分が、そこにも繋がってくるっていうことですよね。観る人が楽になったり、優しい気持ちになれる、光や救いを表現できる作家になりたいと。そういう感情を抱いてもらえるのが理想というか。

 

谷川:悲しいままはイヤじゃないですか。社会で起こっていることに感情が左右されることもあるんですけど、やはり自分は自分の人生を生きていて。時には、自分の人生の中の悲しいことって、社会で起きている悲しいことよりも優先順位が高かったりすると思うんです。でも、悲しさみたいなものは前提にあるけど、それでも生きていかなきゃいけない。そんな中で進んでいくきっかけの一つになれればと思っています。

 

―救いみたいなものを表現したいと思い始めたきっかけは何だったんですか。

 

谷川:きっかけは私自身が絵を描くことで救われたい気持ちがあったというのはあります。私自身が悲しかったんだと思うんですよね。それをそのまま出す強さみたいなものはあると思っていて、悲しさに共感することで救われることもあるのかなって。でも今は、客観的に現実を見つめられるようになって、絵を描くことを仕事として選択したからこそ表現できる救いがあると思っています。正直、救いっていう言葉は使っているんですけど、あんまり救いとは言いたくなくって。救われるか救われないかって、私が観る人に強要するものではないので。救いというよりは、祈りや希望に似ているかもしれないです。やはり表現を言葉に置き換える難しさってありますね。でも、今回の展示ではそこの部分としっかり向き合えたと思います。

 

―今回の展示でもう一つ意識された、作品の表現として進化した部分を教えてください。

 

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谷川:単純に画面の作り方は今までできていなかった部分に挑戦していると思います。この1年間で結構作品数を描いていて、挑戦している年ではあるんですね。今までのペインティングの作品は時間がある限り、画面全体がぎっしりとなるまで緻密に書き込む作品の作り方をしていたんです。でも、それだけじゃなくて、表現の模索としてドローイングに挑戦したことで、こういう表現もあったなとか、自分の中にこういうものがあったんだなっていうのを発見することができて。その発見を元にペインティングの作品にドローイングの良さを引っ張ってきて、余白ではないけれど、そういうのは意識してできている部分かと思います。

 

―最後に、今回展示を観てくださる方やこのインタビューを読んでくださっているファンの皆さんにメッセージをお願いします。

 

谷川:思いとして一番にあるのは、何か一つでも『約束』という展示の作品を自分自身に置き換えて、その人自身で光を感じ取ってもらえるものがあれば嬉しいです。『約束』は私自身がこうありたいという、指針ではあるんですけど、私だけのものじゃなくて、観に来てくださる方の指針を見つめるきっかけになれれば幸いです。

 

 

谷川千佳 個展「約束」
2015.7.28(火)-8.22(土)
12:00-19:00 (最終日は17:00まで)

@ondo tosabori http://ondo-info.net/
※日・月 定休
※8.13(木)-15(土)はお盆休み

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